大鶴義丹、父・唐十郎さんの最期は看取れず「神がかり的なものを持っていた」
2024/05/05
昨日4日午後9時1分に劇作家で演出家の唐十郎さんが亡くなった事を受け、長男で俳優の大鶴義丹(56)が5日、東京・渋谷伝承ホールで囲み取材に応じた。
大鶴は4日、同所で開幕した舞台「後鳥羽伝説殺人事件」の夜公演に出演していたため、父を看取ることは出来なかったが、異母きょうだいで俳優の大鶴美仁音(みにおん=32)、大鶴佐助(30)は間に合ったという。「初日が終わった時間に父が亡くなったので、“絶対に芝居は完結しなきゃいけないんだよ”という事を、父が最後に父の死をもって教えてくれたとはっきり感じた。最後まで粋な演出をする父だな、最後の最後まで演劇人だったなという感じですね」としみじみ。亡くなってから30分ほどで病室に駆け付けたといい、「まだ少し体温が残っているような感じで。佐助君、美仁音ちゃんとは一緒に芝居もした事があるぐらい仲が良いので、父の芝居の話なんかをしながら見送った。父はよく私に『三度の飯を食べるように芝居を作り続けたいんだ』と言っていたので、そんな事を思い出したり」と明かした。
父親との思い出については、「なかなかほめない父で、いつもうれしそうな顔をしているんだけど、“俺にはまだまだかなわんぞ”という事をいつも言う」と回想。また、「父は特殊な才能を持ち得た、何でも出来てしまう人で、戯曲とか小説とかも書き直さない。書き始めたら途中で戻ったり、消しゴムで消したりせず、ずっと終わりまで書き通す。そういう才能を持っていた人なので、僕なんかでは到達出来ない所にあると、息子としても分かっていました。ある種、ちょっと神がかり的なものを持っていたという感じがします」と振り返った。
心残りもあるようで、「父の演出は受けた事がない。どこかで父への反抗心があって、父の戯曲はやっても、別の演出家さんに指導してもらっていた。父に演出をしてもらうチャンスもあったので、変に対抗心を持たずに、何でしなかったのかな?なんて思いますね」と語った。
大鶴が刑事役で出演している同公演は、同所で7日まで。