舞台は大分県豊後高田市です。懐かしい面影が残る商店街「昭和の町」で、初めて店を営む若竹光世さん(73歳)と夫の治さん(77歳)が主人公です。
若竹さん夫婦は、60代で神戸市から豊後高田市へ移住し、田舎暮らしを始めました。治さんは梅干しを作り始め、光世さんはその梅干しを販売する店を開くことに決めました。そこで、「昭和の町」の空き店舗を購入。かつて麹を扱っていたこの店に残っていたボイラーと蒸し釜を見て、光世さんは納豆を作ろうとひらめきました。そして、1冊の本を参考に納豆作りを始め、2013年11月、手作りの納豆と梅干しをメインに販売する「すまや竹八」をオープンしました。
60代で田舎暮らしを始め、70代で店を始めた若竹さん夫婦のチャレンジ精神あふれた暮らしを紹介します。
「すまや竹八」には、光世さんと治さん、それぞれが手作りした品が並びます。看板商品は、光世さんの納豆と治さんの梅干しです。他にも店内には光世さんによる書やステンドグラス、生け花などが飾られています。光世さんが“73歳までにしてきたすべてのこと”が詰まっている店です。
自宅の果樹園で梅の木を育てている治さんは、収穫した南高梅の実で毎年80キロの梅干しを作ります。幼いころ、祖母や親が梅干しを作るのを見て覚えたそうです。酸味を控えて甘味を生かした梅干しです。
試行錯誤し、ようやく完成した光世さんオリジナルの納豆。北海道産の大豆を使い、店に残っていた蒸し釜で作ります。大豆の味がしっかりと残り、匂いは抑えめで食べやすい納豆です。
作務衣に着替えた治さんは、寺で茶道を学びます。豊後高田市に移住してから、たくさんの趣味を持つようになりました。自分から人々の輪の中へ飛び込んで行くことで、移住生活を充実させています。治さんも光世さんも、年齢を気にせず様々なことにチャレンジし続けています。