奥能登・珠洲市が舞台。主人公は下谷真寿江さん(62歳)と礼次郎さん(62歳)ご夫婦です。お二人は2010年4月に、奥能登の食材にこだわってジャムを作る『フラワー工房』を始めました。四季を通じて作るジャムは約20種類。ブルーベリー、カボチャやニンジン、トマトのジャムも作っています。その材料となる果物や野菜は、出荷できない規格外のモノ。多少の傷があるとか、形が悪いだけなんです。『フラワー工房』では、それらの材料が完熟したところで、農家から安く仕入れて使うので、美味しさが凝縮されたジャムに仕上がります。
妻の真寿江さんが作り、夫の礼次郎さんが営業に回る。夫婦力を合わせて、奥能登の恵みをぎゅっと詰め込んだ色とりどりのジャムを作っています!
自宅の隣にある納屋を改装し、6畳ほどの工房を作った真寿江さん。この日はブルーベリーを煮込みながらのジャム作り。ひたすらアク取りをしています。アクは味だけでなく色合いも損なうので、入念に取ります。熱い鍋の前での作業も、楽しくて仕方がないと笑顔が絶えない真寿江さん。一つ一つ丁寧に、ジャムを仕上げていきます。
礼次郎さんは、営業や納品など真寿江さんの後方支援をしますが、朝夕は定年後に買った中古の船でサザエ漁をしています。家の目の前は海、ずっと漁師に憧れていたそうです。この日は5キロほどのサザエが獲れ、半分を自宅用に。もう半分は出荷し、1,500円ほどの収入になりました。礼次郎さんは、趣味と実益を兼ね、楽しみながらやっています。
『フラワー工房』を始めるきっかけとなったのが農家の宮崎さんご夫婦。出荷できない規格外の完熟トマトを処分することに心を痛めていました。その事を知った真寿江さんが、ジャムにしようと思いつきました。宮崎さんは丹精込めて育てたトマトを捨てなくていいと喜びました。真寿江さんのジャム作りは、そんな農家の皆さんにとても感謝されています。
いつもお世話になっている地元の農家を招待し、『フラワー工房』では秋恒例のバーベキューです。この日ご夫婦は、完熟トマトから作ったトマトケチャップの試食をしてもらおうと準備していました。水を一切加えずに煮たトマトを半日でおよそ3分の1の量まで凝縮。手間暇かけたトマトケチャップは、完熟トマトの濃厚な旨みに、皆さんから合格点を頂きました。新商品への自信を得る事が出来て、お二人ともホッとしています。