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玉川企画 「『ゴジラ-1.0』山崎貴監督インタビュー」

アカデミー賞・視覚効果賞を受賞しました「ゴジラ-1.0」の山崎貴監督に玉川徹がインタビュー

『ゴジラ-1.0』
全国東宝系にて公開中
©2023 TOHO CO., LTD.

■「ゴジラ-1.0」 アカデミー賞 山崎監督を直撃

玉川「おめでとうございます。素晴らしい。快挙でございます。おめでとうございます」
山崎監督「ありがとうございます」

玉川「まず最初に聞きたいんですけど」
山崎監督「はい」
玉川「アカデミー賞を受賞するってどういう気持ちなんですか」
山崎監督「ちょっと、だからなんか、現実感がないですね、あんまりね。ちょっと、ちょっと出来すぎな 感じがして、あんまりリアリティがないんですよね」

アジア映画で初のアカデミー賞・視覚効果賞を受賞した「ゴジラマイナス-1.0」
授賞式で、山崎監督が手にしたオスカー像は…

玉川「さっきちょっとだけ見えたんですけど、“金色の物体”が」
山崎監督「あっ」
玉川「これか~。え!いいんですか」
山崎監督「お持ちください」
玉川「重い!」
山崎監督「めっちゃ重いです」
玉川「これなにで出来てるんですか?金ですか?」
山崎監督「金ではないと思うんですけど、でもなんかインゴットですよね。金属の塊ですよね。最初もらった時に『うわ 重い』って。なんかいろんな意味で重いって」
玉川「これはもう、山崎さんのものってことなんですね?」
山崎監督「う~ん、ただ、個人賞じゃなくてみんなでとったものだから、あんまりちょっと、俺のとか言いづらいですよね。まあ引退するときは持ち帰りますけど(笑)」

200億円規模で制作されるというハリウッド映画。
その10分の1程度の費用で最先端を行くハリウッドを凌ぐ作品を作り上げたのは、山崎監督が率いる 「白組」、35人のスタッフたち。

山崎監督「彼もアカデミー賞受賞者の一人で水を中心にやってくれたんで」

アカデミー賞の授賞式にも出席した、野島達司さん25歳。彼が手掛けたシーンが、ゴジラと人間が海で戦うシーン。

ゴジラと人間が戦う臨場感溢れる場面は、どうやって作られたのでしょうか。

玉川「これ水も全部CGなんですか?」
野島さん「海の実写は撮ってある」
山崎監督「いま映ってた部分は実写ですね」
野島さん「この船も本物で」
山崎監督「それ(船)が起こしてる波も本物で。この辺がCG」
玉川「船と 船が作ってる波はオリジナル。実写」

実際に、海で撮影されたのは船と船の周りにできた波。そこに、ゴジラなどがCG合成されているといいます。

玉川「今回のゴジラは全部CGなんですか」
山崎監督「全部CGですね」
玉川「人が入ってとか一切なくて」
山崎監督「逆にこの中にいくつか、人が入った(ゴジラの)スーツを使おうとすると、スーツぜいたく品になっちゃいますね」
玉川「そうなんですか」
山崎監督「(ゴジラは)全部CGに統一しちゃった方が、楽っていうかコスパもいいんですよね」
玉川「山崎監督はどんな監督ですか?」
山崎監督「バランス感覚の天才。お金をかけすぎて時間がかかるとか、バランスっていろいろあるじゃないですか。その山の頂点を狙い打ちできる。あまり予算かからないようにとか。これがとんでもないなって思いますね」

■「ゴジラ-1.0」 制作スタジオ潜入 監督の“狙い”

さらに、この制作フロアにも、山崎監督の狙いが隠されていました。

山崎監督「ここワンフロアなので(仕上がりの)チェックに行く時どこまでもこれでいけるわけですよ」
玉川「椅子で行くんですか」
山崎監督「横でずっと見なきゃいけないじゃないですか」
玉川「そうか行った先で」
男性スタッフ「(監督が)来て、椅子がないとどうぞ座ってくださいみたいにやらなきゃいけない」
山崎監督「(私が)自前で来るんでここであれでこうでって(指示する)。向こうで呼ばれるとまたそこに 椅子で行くっていう。1つのフロアに全スタッフを集めるというのはすごくやりたかったことで ゴジラのために会社にお金を出してもらって改装したんですよ」
玉川「ゴジラのために?」
山崎監督「ゴジラはもう相当辛い仕事になるだろうから、とにかくチェック機構を作るためにワンフロアに全員集めたいというのは悲願だったので」

改装したワンフロアにスタッフを集め、監督が直接仕上がりをチェックすることで、アカデミー賞を取れる作品が作られたのです。

歴史的快挙を成し遂げた「ゴジラ-1.0」には、こんな人物も関わっていました。

玉川「山田プロデューサーおめでとうございます。
山田プロデューサー「ありがとうございます。大変ご無沙汰しております」
玉川「一応解説しますとですね山田さんテレビ朝日の社員でした。私一緒にコーナーをやってました。 ディレクターで。今改めて反省しているんですけど。あの時の私を反省してどうもすみませんでした」
山田プロデューサー「あの時の玉川さんゴジラみたいでした」

■「ゴジラ-1.0」 銀座破壊シーン 監督の想い

無類の特撮好きだという玉川さん。「ゴジラ-1.0」で一番印象に残ったシーンが。

玉川「きのう2回目を見てきたんですけど。銀座のシーンが一番強烈だったんですよね。あそこで僕は実は、涙が出たんですよ」

海から上陸したゴジラが、逃げ惑う人たちをよそに熱線を放ち、銀座の街を無残に破壊していくシーン。

玉川「その爆発はまさに核爆発の画だった。その思いを強くしたのはそのあと黒い雨も降りましたよね。原爆を描いたのかなと、あそこで。と思ったんですけど、 あのシーンというのはどういう思いで作られたんですか」
山崎監督「原爆のメタファー(比喩)をいっぱい入れてますよね。やっぱり当時の日本の人たちが、(世界で)水爆実験をどんどんやってるっていう中で、ものすごく潜在的に恐怖感を感じていたものが形になって表れたのが一作目のゴジラだと思うんです。だからやっぱりそれは踏襲したいなというか。初代を見たときにお客さんが感じたできれば同じぐらいの恐怖を感じてもらいたいっていうのはすごく重要なテーマの1つだったので」

■ゴジラは “時代のレンズ” テーマ設定秘話

これまで、ゴジラと戦うのは政府や自衛隊でした。しかし、「ゴジラ-1.0では民間人が自ら団結しゴジラに立ち向かっていきます。そこにも、時代を掴んだ秘密があると言います。

玉川「民間が(ゴジラと)戦うっていう風なことをやっぱり描きたかった理由があるんじゃないかなと 思ったんですけど」
山崎監督「やっぱりこの制作中にコロナ禍があったので。あまり政府が何もしてくれないなって感じがあって」
山田プロデューサー「コロナの状況下で国とか政府の皆さん、まあ役に立たないとかは言わないですけど、非常にみんな疑問を持っている状況の中で、ますます今そういうテーマを描いていくべきなんじゃないかという風に脚本がどんどん現実とリンクしながら研ぎ澄まされていったというのが正しいかもしれないですね」
山崎監督「アメリカの評論家の人と話をした時にゴジラというのは〝時代のレンズ〟なんだって言ってたんですよ。かっこいいこと言うなと思ったんですけど、やっぱその時代時代を映し出すレンズであるべきなんだと」

玉川「そうすると、あまりその元々意図していたわけじゃないけれど、作ってる間に時代が乗り移っていた みたいなそういう感じ?」
山崎監督「それは不思議なんですよ。どんどんどんどん世界情勢が悪くなっていって、戦争が起き始めてる ということも含めて時代とリンクしちゃう運命を背負っているのかな?とちょっと思いましたね」
玉川「これもぜひ聞かなきゃいけないんですけど、次はあるんですか」
山崎監督「…大変過ぎてね(笑)」