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羽鳥慎一がニュースな現場へ!みんなの疑問を解決

2018.05.08放送

画期的! 熱に強い越前漆器&IH対応新食器を開発

電子レンジやオーブンもOKの越前漆器

株式会社 下村漆器店
住所/福井県鯖江市片山町8-7
TEL/0778-65-0024
FAX/0778-65-2202
電子レンジ対応越前漆器
「越前漆器こだち椀」7560円(税込み)
※電子レンジ・オーブン(180℃まで)・食器洗い機に対応
※下村漆器店HPから購入可能
美しい艶と華麗な装飾が特徴の越前漆器。福井県鯖江市は、1500年の歴史を持つこの越前漆器の産地です。ここで、羽鳥慎一キャスターがお会いしたのが下村昭夫さん(53)。熱に弱いとされる漆器の常識を覆して、電子レンジやオーブンで使える漆器を開発しました。さらには、越前漆器の技術を応用して新たな食器も製作。今回の聞きトリは、画期的な越前漆器と新食器開発の舞台裏に迫りました。

天皇陛下にご使用いただいたことがあるなど高級品も多い越前漆器。それをより身近なものにしたいと思ったのが、電子レンジで使える器の開発の始まりでした。可能にしたのは、熱に強いプラスチックを素材として使っていることにあります。とはいえ、プラスチックに漆を直接つけることはできないため、接着剤代わりのアクリル系塗料の下塗りが欠かせません。

また、塗る漆も「熱に強くするため、すべての不純物を取り除いた漆」と特別なものを使用しています。さまざまな試行錯誤の末、電子レンジやオーブン、食器洗い機でも使える漆器が誕生しました。

IH調理器に対応する食器とカートも開発

◇IH対応食器および調理カートに関するお問い合わせ
アイディッシュ株式会社
住所/福井県鯖江市片山町8-7
TEL/0778-65-2360
下村さんの開発は、IH調理器に対応する食器にも及んでいます。専用のカートに器をセットして、食材にあわせて温度や時間を入力するだけで調理ができるようになっていますが、実はこのカートも下村さんが開発していたのです。

IH対応の食器やカートを使えばまとめて調理ができるため、一度に大量の食事を作る病院で利用できると考えたのがきっかけでした。味気ない病院の器が変わるだけでなく、「作りたてのアツアツの料理が食べられる」。しかも調理の手間も省けるメリットもあります。

しかし、このIH対応の食器やカートができるまでには多くの困難が待っていました。

超高齢化社会に向けて家庭用IH調理プレートも開発中

下村さんは1900年創業の下村漆器店の4代目。料亭などで使う器をはじめ、高度成長期にはホテルや旅館の建築ラッシュもあって、さまざまな越前漆器を作り、業績を伸ばしてきました。しかしバブルが崩壊して安価な輸入品が台頭すると経営は厳しくなります。そこで営業したのが、食器をたくさん使う病院でした。

ところが食器を買うという話は見向きもされず、病院が望んでいるのは「おいしく、安全な食事を効率よく作ることができるものが欲しい」のだと知ります。越前漆器の技術を生かして新たな食器を作ることはできないか。下村さんの挑戦が始まります。

IHで使えるよう食器の素材をステンレスで検討しますが、あえなく失敗。熱すると漆がボロボロ剥がれてしまったのです。そこで熱に強い塗料を研究しようと、39歳で福井大学の大学院に入学。わかったのは、セラミックを何層にも塗り重ねると耐久性が高まるということでした。奇しくもそれは、塗り重ねると強度が強くなる漆塗りの技術を応用したものだったのです。これを端緒に研究をさらに続け、9年かけて、ようやく食器は完成しました。

現在、福井県内の5カ所の病院や高齢者施設でIH対応の食器は使われています。「やっぱり温かいごはんはおいしい」とは利用者の声です。

下村さんはこのシステムを使い、高齢者向けの「家庭用IH調理プレート」も開発中です。契約した家庭にIH調理プレートを置いてもらい、病状に合わせた食材を配達するサービスができないかと考えているのです。実現すれば、利用者は買い物に行かずとも自宅で栄養バラスがとれた食事をとることができるようになるため、この取り組みには鯖江市も注目しているそうです。

諦めずに何度も繰り返して考える

最後に尋ねました。「人生で成功するために必要なことは?」。下村さんはこういいます。「なぜ出来ないのか。“どうして”“なんで”を何回も繰り返すというのが成功の鍵かなと」。

さらに、「先祖の人たちがいろんなことで悩んで出来上がった技術を受け継いでいると思いますし、それがあったからこそ、今の食器やシステムも出来上がったと考えています」と続けます。

下村さんは継承した伝統技術を進化させることで、革新的な食器を生み出していました。