羽鳥慎一50の質問

番組を進行する羽鳥が、“時の人”に立て続けに50の質問を行い、 質問に答えて頂くなかで浮かび上がるゲストの方の性格やセンス、内面に迫るコーナーです。

24・4・2

2024年4月2日 小倉智昭編

小倉智昭 さん

2024年4月2日 小倉智昭編

今回のゲストは22年間、「とくダネ!」で朝の顔として司会を務めてきた
小倉智昭さんです。
小倉さんは、毎朝「モーニングショー」を見ているそうで、今回、
自宅に伺い、がんの闘病生活や、今のテレビへの想いをお伺いました。

■小倉智昭×羽鳥慎一 毎朝「モーニングショー」を視聴

羽鳥「小倉さんのお家にやって参りました。失礼します」
小倉「はいどうぞ」
羽鳥「お邪魔します。小倉さん。ご無沙汰しております」
小倉「ご無沙汰です。本当にご無沙汰で。何年会ってないんだろうね」
羽鳥「いやもう、10年くらい会ってない」
小倉「朝(の番組)を始めるか もう始まったかで、その話をしたよね。『羽鳥くんだったら大丈夫だよ』って言って、『こっちはやばいわ』っていう話。あれ以来だよ」
羽鳥「あれ以来ですね」
小倉「言った通りになっただろ。すごいね。今(世帯視聴率)10%だって、だから羽鳥くんを家に招くのをどうしようかと思ったんだけど」
羽鳥「いやいや」
小倉「裏の(番組の)人をさ、招いたら今後フジテレビから仕事がなくなるんじゃ(笑)」
羽鳥「そんなことない」
小倉「まぁ上がってください」

22年間、「とくダネ!」で朝の顔として活躍してきた小倉智昭さん。 
13年前から、テレビ朝日の朝の顔となった羽鳥慎一。
同じ時間帯でしのぎを削ってきた二人の対談が実現!

■赤裸々対談 妻との別居 がん闘病

羽鳥「(質問1)こちらはどういうお部屋ですか?」
小倉「ここがダイニングリビングで。テレビなんかを観るときはこのスピーカーで。モーニングショーなんかも、ここで見たりするけど」
羽鳥「(質問2)モーニングショーを見ていただいてるって伺いまして」
小倉「大きい声じゃ言えないけど、ほぼ毎朝見てる」
羽鳥「ありがとうございます」
小倉「羽鳥君の良い声を聞きながら見ているわけよ」
羽鳥「うわー、緊張しちゃうな、明日から」

妻が母親の介護のため、実家で暮らすことになり、現在、一人で生活しているという小倉さん。

小倉「今はかみさん、別居なんだけど。おふくろさんがもう92歳になって、色々介護も必要だし」
羽鳥「(質問3)今、どうされているですか?お食事は?」
小倉「食事は女房が週に3回は来てくれるので。用意してくれる場合もあるし、僕がスーパーとかに行って買い物をして、それでチンするものが多いけどね。それで作って食べたりしていますよ」
羽鳥「(質問4)どうですか?その生活スタイルは?」
小倉「寂しいこともありますよ。もちろん病気なんだしさ。このまま一人で もしも何かあった時は何時間このままでいくのかなっていう、つまらないことも考えるけども。実質的には夫婦間の思いやりは前よりも強くなったし、毎日LINEの交換。一日何回も今日の体調はどうだとか、今日はこういうことをやりますとか、昔だったらアリバイ工作みたいな感じだったけど、今はそうじゃないんだよね」

2016年に膀胱がんが見つかり、2021年には肺へ転移。
さらに去年、腎盂がんと診断され、左の腎臓を摘出。現在も闘病生活を続けています。

羽鳥「(質問5)今、体調はどういう状況なんですか?」
小倉「体調はね。すこぶる いいんです。」
羽鳥「そうなんですね」
小倉「先生に言わせると、もう小倉さんの場合はガン細胞が体の中に残っていることはほぼ確実で、これから先転移もするだろうから、今のままじゃダメですねって言うんで。免疫を高めることによってがん細胞を抑え込むというオプジーボ。あれと同じような薬で、キイトルーダという免疫チェックポイント阻害薬があるので、最後の手段としてキイトルーダを使いましょうと。少しでも寿命を延ばす。それを考えましょうって言われたから、もうかなり危ない状況ですよ。」
羽鳥「(質問6)前回、キイトルーダで副作用ですか。もう小倉さんが本当に死の淵をさまようような三途の川を見るような」
小倉「三途の川本当に見たよ。夢なのかどうなのか現実なのか分からない」
羽鳥「(質問7)どういう状況だったんですか?」
小倉「いや、親父がいてさ、川のほとりみたいなところで、そしたら親父が『そろそろ父さんは行くぞ。お前も行くか?』っていうから『俺はまだ行きたくない』『そうか。お前はまだいいのか。じゃあ父さん一人で行くから』なんて言って。親父は一人で消えていきましたよ、花園の方に。本当に川があって、花園があったの」
羽鳥「(質問8)生きることへの考え方とか、そういうことって小倉さんの中で変化というのはあったんですか?」
小倉「あのね、昔はポックリいくのが理想だったわけよ。今思うとがんの方がゴールが見えてくるじゃない。準備ができる」


■初公開 お宝だらけ!珠玉コレクション「余生は好きなものに囲まれて」

闘病生活を送る中、これまで収集してきたグッズを処分。
厳選したものを展示するため去年、地上2階・地下1階の自宅をリフォームしたばかり。

小倉「女房の発案でね、どうせだったら余生は好きなものに囲まれて暮らした方がいいでしょうって言ってくれて、応援してくれたんで」

玄関前にあったのは…

小倉「これなんか1940年代のベルギーのオルゴールなんだけど」
羽鳥「(質問9)うわー!オルゴールですか?これ」
小倉「ここにね昔のコインがあってこれじゃないと鳴らないの」
♪オルゴール鳴る
小倉「良い音がするでしょう」
羽鳥「ありがとうございます」

羽鳥「(質問10)ここが何の部屋になるわけですか?」
小倉「ここはドールハウスなんです。」
羽鳥「ドールハウスだ」

1階の「ドールハウスルーム」の奥には、小倉さんの長年の取材を物語るコレクションの数々が…

小倉「これ手塚治虫さんに頂いたのね。」
羽鳥「レオだ。そちらもなんか」
小倉「当時の原画の。これも松本零士さんにもらって」

小倉「これ、ゴン中山が。ワールドカップ フランス大会」
羽鳥「噓でしょ?あのシュートしたとき?」
小倉「そう、一番最初に日本として点を取ってた時に着ていたユニホームなの。」
羽鳥「えー!」

シドニーオリンピックから9大会 現地で取材し、アスリートとも親交が深い小倉さん。
歴史を刻んだ貴重な品も。

小倉「ベルリンでQちゃんが、女性として初めて2時間20分を切った時、その時にレースで使ったシューズをQちゃんが僕に持ってて欲しいって言ってくれた」
羽鳥「高橋って書いてある」
小倉「うん。高橋尚子って書いてある。」
羽鳥「(質問11)高橋尚子さんというのはどういうアスリートですか?」
小倉「この人はシドニー間違いなく金メダルを取るなってその時言ったんですよ、番組で。Qちゃんがそれを見ててくれて、シドニーで金を取った時に、Qちゃんが「小倉さん来てくれたんですか?すごい!」って言ってくれたの。凄いのは!Qちゃんだから。」

羽鳥「(質問12)何でそもそもそんなにオリンピックに思い入れがあったというか、現場に行こうっていう風に思われたんですか?」
小倉「陸上競技をやってたり、40過ぎてたからクレー射撃をやったりして、オリンピック行きたかったんですよ。選手で。夢だったの。それで選手でいけないから、見たいし、実況したいしと思って。やっぱり今でも実況をやりたいなと思うくらいオリンピックが好きなんだよね」
羽鳥「夢はオリンピックの実況」

羽鳥「(質問13)前回の家からどれくらい処分されたんですか?」
小倉「DVDとか本とかCDで2トン車6台分あったんです」
羽鳥「12トン」

地下には、映画館と同じ立体的な音響を楽しめるこだわりのシネマルームが。

羽鳥「(質問14)どれぐらいの頻度でここでご覧になるんですか?」
小倉「ここはね。週に3回ぐらいかな。週に3回入ると4時間ぐらい入るけど」
羽鳥「(質問15)小倉さんそこにいつも座られるんですか?」
小倉「うん」
羽鳥「じゃあ、真ん中失礼します。ここで週3回。(質問16)どういう気分の時というか、リフレッシュする時とか?」
小倉「どんな気分の時でもいいじゃないですか。沈み込んでいる時だと、これで気持ちが晴れるしさ。それから、むしゃくしゃしている時に爆音で聴くとさ、最高だったりとかさ」


■「とくダネ!」共演者 菊間さんから質問! 今一番吠えたいニュースは?

羽鳥「ある方から質問をいただいておりまして」
小倉「質問!?」
羽鳥「ちょっとこの素敵なスクリーンで見ていただいてもよろしいでしょうか?」
菊間「(質問17)小倉さん、こんにちは。菊間です。小倉さん、いつも何かニュースがあるとわぁと吠えていらっしゃいましたので、最近一番気になる吠えたいニュースは何ですか?教えてください。」

羽鳥「今何ですか?その吠えたい題材っていうのは?」
小倉「今は、大谷だと思うんだけど。大谷って我々の感覚と違うと思うんだよ。プロで第一線で活躍して、あれだけ稼ぐ人は。お金には無頓着な部分があって、その口座のね。それこそ毎月のチェックとかしてるわけがない。」
羽鳥「こういう風に小倉さんなら解説してくれる」


■MC対談 「朝の司会者の先輩」小倉智昭から見た羽鳥慎一

テレビ東京のアナウンサーからフリーに転身。
ナレーションや番組の司会など、「話すこと」を50年以上、生業にしてきました。

羽鳥「(質問18)そもそも、何でアナウンサーになろうという?」
小倉「それがさ、俺は吃音があるからさ」
羽鳥「いわゆる、どもりっていうところですよね?」
小倉「俺、今でも治ってないからね」
羽鳥「本当ですか?」
小倉「(子どもの頃に)七夕の時の短冊に願い事書くじゃない。小さい時とかずっと、どもりが治りますようにって書いてあったんだけど、治らないんだよ。親父にね、『七夕は嘘だ』って『どもり治りますようにって書いても何も治らねぇ』って言ったら、親父が『智昭、夢は持つな』って言ったの。小学校5年生に夢は持つな」
羽鳥「独特ですね」
小倉「夢は夢で終わる。夢を果たせるっていう人は成功した人だから言えるんだ。たいていの人は夢を持っていても、その夢が果たせないで終わるだろう。だからお前は夢じゃなくて、目的を持ちなさい。目標を持ちなさい。目的だとか目標だったら、もしも手が届かなかったら、それを下げればいいだろう。小倉の教えはそこにあるんですよ。本当に夢をかなえる大変なことって知っているでしょ?羽鳥くんなんかアナウンサー志望の人から見たら、天の上の人だよね」
羽鳥「幸運 幸運 幸運 幸運がつながって本当にきているだけだなと思います」

(質問19)小倉さんから見た、司会者・羽鳥慎一とは?
小倉「司会者としてのまわし方とか、仕切りとかさ、頭が良いから切り返しの速さとかあるじゃない。それは絶妙だよね。それで羽鳥くんが良いのは、絶対人に嫌われないタイプの人だもんな」
羽鳥「どうですかね?」
小倉「俺にないところは、見た目も良いし、すらっとしてて背も高いじゃん。必ず人気アナウンサーのベスト5とかって上位に入るじゃん。俺、いまだかつて、人気アナウンサー入ったことないんだよ。嫌いなアナウンサーは必ず入る。」


■朝の顔で22年 「とくダネ!」オープニングトーク裏話

「とくダネ!」で22年に渡り「朝の顔」を務める中、MCとしてあるこだわりが…

羽鳥「(質問20)とくダネ!のオファーを受ける条件は?」
小倉「当時のワイドショーって 始まって30分くらいずっとVTRでさ 僕は『それだったらやりません』で、頭でまずスタジオに降りて好きな話をさせてください。1分でもいいですから。時間をくださいといって、しまいには10分くらいやってた」
羽鳥「いや、そうですよね、10分くらいしゃべってるってありましたよね」
小倉「コーナー飛ばしちゃうの。最初から。最初のオープニングトークでコーナー飛ばしてるの」
羽鳥「いや、10分喋ったら飛びます。一つは」
小倉「飛ぶよね。何を喋るかというのは、俺は言わないんだよね。」
羽鳥「(質問21)アドリブでやってるという事ですか?」
小倉「そうすると。笠井なんかでも、すんげーとんちんかんな入り方してきちゃったりとか、いきなりこっちが締めで言うようなことをあいつが言っちゃったりとかするから、そうするとその都度その転換をしていかなきゃいけないじゃん。丁々発止」
羽鳥「私、今、玉川さんとそう。」
小倉「玉川君もそうでしょ?」
羽鳥「最後に言おうと思ってたことをもう最初に言っちゃうんですよ。」

羽鳥「(質問22)カンペ(演者に指示を出す紙)も嫌と聞いたんですけど」
小倉「カンペ 嫌」
羽鳥「(質問23)カンペ 無くて大丈夫ですか?」
小倉「カンペ 出されるの嫌なの。あと30秒とかそのぐらいは出してもいいけど、いちいちカンペ出すなっていう。めんどくさいってカンペ嫌いでさ。」
羽鳥「一茂さんと一緒ですね。あと15秒ですと出されると、一茂さんエンジン入って、じゃ3分喋ってやろうじゃねえかって、始まるんですよ」


■小倉智昭×羽鳥慎一 「今のテレビ」への本音

「今のテレビ業界」を、小倉さんはどう見ているのでしょうか?

羽鳥「(質問24)今までにない手法でやってきて、トップになって22年やってきた小倉さんが、今のテレビをどう見ているのか、今の情報番組でどう見ているのか?」
小倉「面白くないよね。」
羽鳥「(質問25)どこが面白くないですか?」
小倉「みんな、なんか人の顔色をうかがいながら言うし。このコメンテーターはこう言うだろうなってわかるんだよね。みんな役回りが決まりすぎちゃってて」
羽鳥「(質問26)じゃあやっぱり今の情報番組ってのは、そういうちょっと予定調和のところが増えてるんじゃないかっていう?」
小倉「うん、それでなんだかんだでコンプライアンスとか言い過ぎだよね。使っていけない言葉とかさ。そんなのおかしいでしょっていう。何も話せなくなるじゃない」
羽鳥「でも今、時代がそうじゃないですか。SNSっていうのも出てきて、昔にはない我々のような人間が批判されるツールが出てくる」
小倉「ビクビクビクビクしながらな」
羽鳥「(質問27)そういう中でどうしていけばいいですか?」
小倉「俺は絶対これは炎上するなって分かってて踏み込んじゃうから。そら来たっていう感じで楽しむところがあるから、みんなに迷惑かけるんだけど、それをどうやって乗り切るのかっていうのを自分なりに考えて乗り切るとか、逆手にとってもっと炎上させちゃうとかさ。」


■羽鳥慎一 渾身の質問「テレビが生き残るために必要なことは?」

長年、テレビをけん引してきた小倉さんに羽鳥が最後の質問に選んだのは…

羽鳥「(質問28)最後、これからテレビが生き残っていくために必要なことは、どういうことだっていうことだと小倉さんは思われますか?」
小倉「本当は情報とかニュースだけは生き残っていかなきゃだめだと思うんだよね。でもニュースが今みたいに、忖度しちゃうようなニュースが多くて横並びで皆、同じことを言ってて。やっぱりネットとかYOUTUBEの動きの良さとかスピード性にはもうテレビはかなわなくなっていくと思うから、もっと各局が政治色持っていいと思うよ。選挙の前に選挙のことやれないんだもんやらなくなってきたでしょ」
羽鳥「まだモーニングショーはちょっとそういう部分ではまだできている部分が」
小倉「まだ反骨精神あるもん」
羽鳥「あるのかなと思うので。」
小倉「だから見るんだよ」
羽鳥「小倉さんに言われたことを、ただここで見られてんだなと思うのがちょっと」
小倉「目立つよアップになんかなったりすると」
羽鳥「ちょっと緊張しながらこれからも頑張りたいと思います。ありがとうございます」
小倉「ありがとうございます」