羽鳥慎一50の質問

番組を進行する羽鳥が、“時の人”に立て続けに50の質問を行い、 質問に答えて頂くなかで浮かび上がるゲストの方の性格やセンス、内面に迫るコーナーです。

23・11・7

2023年11月7日 山中伸弥教授に質問しました

山中伸弥 さん

2023年11月7日 山中伸弥教授に質問しました

今回 お話を聞いたのは iPS細胞で、2012年にノーベル賞を受賞した
山中伸弥教授。
さまざまな組織や臓器の細胞に変化することが出来るiPS細胞の研究を行う本拠地・京都大学iPS細胞研究所に特別におじゃまさせていただき、
素顔に迫りました。

■本拠地・iPS細胞研究所へ…素顔は「普通の大阪のおっさん」

山中「所属員しか入れないので、こういうカードキーで制御して」
羽鳥「(質問1)普段は先生 何階にいらっしゃる?」
山中「普段3階ですので、今 上にご案内いたします」
羽鳥「(質問2)いつも階段ですか?」
山中「だいたい階段使ってますね」
羽鳥「(質問3)エレベーターを待つ時間さえももったいない?」
山中「いやいや、単にいらちなだけ。以前は4階にいましたので。
   さらに以前は2段飛ばしとか行ってたんです」
羽鳥「2段飛ばし」
山中「トレーニングを兼ねて」
羽鳥「さあ 3階まで上がってまいりました、若干疲れております」
羽鳥「空気がきれいな感じが」
山中「そうですね」
羽鳥「(質問4)ホコリがないように?」
山中「清掃は心がけて」

山中「ここがオープンラボで」
羽鳥「(質問5)今 何人くらいで研究されてるんですか?」
山中「今は 500数十人」
羽鳥「(質問6)1番最初は何人から始めたんですか?」
山中「20人以下でしたね」
羽鳥「そこから500人」

羽鳥「(質問7)今、何をやってらっしゃる?」
山中「今はですね 細胞からRNA取り出しているところです」
羽鳥「(質問8)先生も若い頃 こういうことは?」
山中「もう ものすごいやってました。自分が実験一番うまいと思って
   やってましたから」
   (研究員に話しかける)
羽鳥「(質問9)山中先生 いかがですか?」
佐藤「ウフフ 研究のときは とても厳しくて」
羽鳥「研究のとき厳しいんですか、やっぱり」
佐藤「じゃないときは、普通の大阪のおっさんです」
羽鳥「いい距離感です」
山中「まあ (付き合いが)長いですから」
羽鳥「そうか。ノーベル賞の方でも大阪のおっさんと呼ばれる」
山中「大阪のおっさんです。はい」

■教授室で私物拝見 カバンから出てきたものは?

山中「私の部屋はこっちでして」
羽鳥「先生やっぱり、火元責任者なんですね」
山中「ああ そうです」

羽鳥「うわ ここですね。先生、失礼いたします。きれいなお部屋」
羽鳥「やっぱりあれですね 本が多いですね」
山中「まあ そうですね」
羽鳥「(質問10)“誰でも天才になれる生き方・働き方”って本、
   読まれるんですね?」
山中「頂くことも多いですし」
羽鳥「もう天才だと思うんですけど」
山中「いえいえ」
羽鳥「(質問11)ノーベル賞関連のものは、あまり置かない?」
山中「もう全然、ずっともっともっと年をとったら、もしかしたら
   見るかもしれないけど、普段は全然見ない」

羽鳥「(質問12)先生 鞄は持ち歩かれてるんですか?」
山中「普通の鞄です」
羽鳥「そうですね先生、普通の鞄ですね」
山中「まったく普通の鞄で」
羽鳥「やっぱりきれいに整頓を」
山中「論文と…まあ唯一ちょっと違うのは この『ランナーズ』」
羽鳥「うわっ 先生!出てくる雑誌がまさかの『ランナーズ』」
山中「愛読書です」
羽鳥「『ランナーズ』出てくるとは思いませんでした」
山中「あとは たいしたもん… iPad」
羽鳥「iPadくらいです 私と一緒なの」

羽鳥「(質問13)先生、バランスボール?」
山中「バランスボールも この椅子に座ったり、ここで仕事をしたり」
羽鳥「(質問14)やっぱり鍛えられてるんですね?」
山中「いまだにマラソンで自己ベスト更新しようと試みて」
羽鳥「(質問15)今、何分なんですか?」
山中「今、3時間20分」
羽鳥「3時間20分」
山中「まあ、年齢的にかなり厳しいんですが、まだピークじゃないと」
羽鳥「すごい。まだピークじゃない」

山中教授はこの取材の4日後にもフルマラソンを完走。
マラソンの他にも妻と一緒にするという健康の秘訣が。

山中「僕は毎朝、6時25分から某局のテレビを見ながら体操を
   一緒にやってます」
羽鳥「6時25分から体操やってるのは、あの局しかない」
山中「あの局しかないんです。これが我が家のルーティンです」
羽鳥「(質問16)お2人で?」
山中「2人でやってます」
羽鳥「(質問17)なんかどっかに出かけるとか?」
山中「昔やってなくて、今やってるっていうのはライブを一緒によく
見に行くようになりました」
羽鳥「(質問18)仲良いんですね?」
山中「うーん。もう付き合いは長い。中学校からのだから、昔は恋人の
   ときもあったと思いますし、それが夫婦愛に変わって
   それが家族愛に変わって、今はまた友達みたいな感じですね」
羽鳥「最高ですね」

テレビ朝日ドラマプレミアム
友情~平尾誠二と山中伸弥 『最後の一年』~
11月11日(土)
よる9時(一部地域を除く)

■“ミスターラグビー”平尾誠二さんとの友情

山中「1番の思い出は、平尾さんに初めて会った2010年に(ラグビーボールに)サインしてもらって。僕にとっては宝物ですね」

日本ラグビー界の礎を築いたと言われる“ミスターラグビー”平尾誠二さん。
雑誌の対談で出会い、すぐに意気投合したといいます。

羽鳥「(質問19)平尾さんと初対面の印象は?」
山中「僕にとっては学生時代、高校から憧れの人だったから
   ドキドキだったが
   ご本人にお会いすると予想以上にさらに素晴らしい方で、
   最初からとりこというか」

ジャンルを超え、親友となった2人の知られざる実話を描いたドラマ「友情」。
日本代表監督なども歴任し、ラグビー発展のため尽力する中、平尾誠二さんを襲ったのは、突然のがん宣告。
山中教授は、医師として最善の治療法を模索し、平尾さんを支え続けました。
最後まで全力で病と闘った2人の揺るぎない友情の物語です。

羽鳥「(質問20)今も ふっと思い出されること?」
山中「しょっちゅう しょっちゅうですね。彼も生前からずっと言っていたのは『笑え』と『理不尽って言って腹立ててもしゃーない』と。
  彼の真骨頂は、病気になって末期に近いがんだって言われたときに
  まさにそうでしたね
  『まあ しゃーないわ』って」

羽鳥「(質問21)滝藤さん、本当にそっくり?」
山中「僕もある意味 特徴があるので、自分で観てても、あれ結構かなり
   似てると思って、俳優って職業はすごい仕事なんだなと 改めて」

■山中教授役・滝藤賢一さんからの質問は?

ドラマで山中教授役を演じた滝藤賢一さんからは4人の子どもを持つ
子だくさんパパとしての質問が。

滝藤「山中さんご無沙汰してます 滝藤賢一です。きょうも朝から10キロ
   走られましたか」
山中「はい 走りました。あっ、きょうは5キロくらいかな」
滝藤「山中さんの本を読ませて頂きまして、早寝早起き朝ごはんと
   いうのが脳を育てるというのに僕とても感銘を受けて、
   滝藤家では夜は9時には寝る。で、朝はしっかり朝ごはんを食べる。
   これが唯一のルールになりました。
   なんですが まったく勉強しないんですよね。
   脱いだものも脱ぎっぱなしだし、食べたものも食べっぱなしだし
   (質問22)このままで山中さん いいんですよね?」
羽鳥「どうですか?」
山中「家族でご飯を食べていろんな話をする。それずっと続けられたらあとは何とでもなると思います」
羽鳥「(質問23)あまり勉強しろ勉強しろって言ってはいけないなと
   思いながら言ってしまうっていうのが、
   親御さんだと思うんですが?」
山中「気持ちはわかりますが言っても聞かないですよね。
   僕なんかもそうでしたけど、だんだん大人になってくると、
   やらないとダメなことはやるようになると思いますから。
   それよりも親子のコミュニケーション」

■一研究者として現場で力を注ぐ…思い描く未来

山中教授は去年、iPS細胞研究所の所長を退任。
現在は再び研究の現場に戻り、基礎研究に力を注いでいます。

羽鳥「(質問24)今から50年経ったら人間はどのくらいまで
   生きられるようになるんでしょうか?
   iPS細胞の活用というところも含めて」
山中「そもそも私たちの目標そのものが、寿命を延ばすというよりは
   健康寿命を延ばすところなので
   今もこんだけ医学が進歩しても、
   世界とか日本最高齢の人というのは、
   110とかそれがひとつの限界で。
   だから120を超えるというのは
   かなり今とは違う考えが必要ですし、
   それが本当に社会とか個人の幸せにつながるのかという問題も
   ありますから」

羽鳥「最後の質問です。10年後に先生71歳 何やっていたいか?」
山中「わかりません!僕この数年でだいぶ考えを変えまして、
   平尾さんの若すぎる死というのもきっかけの一つなんですが、
   この数年で中学からの仲の良かった友達3人
   ばたばた亡くしてしまったんですね。
   今は10年後というよりは、今 やらなければならない、
   やりたいことをまずやろうと。
   先延ばしにしないというのをすごい心がけていまして、
   所長をバトンタッチして自分のやりたい研究に注力するのも
   そういう理由なんですね。
   まずは1日1日、1年1年を今するべきことを
   やっていこうと思ってます」