障がい者福祉

障がい者への包括的性教育事業
「新規事業 NPO法人ピルコンが特別支援学級などで包括的性教育の授業開始」

2022年度下期から助成がスタートしたNPO法人ピルコンの「障がい者の方への包括的性教育事業」は、子供たちや若い女性たちが性被害に遭わないようにするためと当初考えていましたが、発達障害や知的障害を持つ方々の中には、他人との距離感の取り方がうまくいかず、相手に付きまとってしまったり、時にストーカーと思われるような行動をとってしまったりすることもあるという話を聞き、加害者にならないように心配している保護者の方々も多い中、とても重要な事業と考えています。

日本では学校での性教育もなかなか進まない状況があります。東京都立七生養護学校(現・都立七生特別支援学校)で2003年に障害児に対する性教育を行った教員が処分された事件がありましたが、各地から見学にくるようなモデルケースになる教育だったにもかかわらず処分という結果になってしまったことから学校での性教育は後退してしまったと聞きます。一方で成人年齢も18歳に引き下げられたことで被害に遭うケースがさらに増えることが予想されています。また望まぬ妊娠のために、産んだばかりの赤ちゃんを殺してしまうなどの事件も頻発しているので、こうした性教育は大切であると考えています。

埼玉県の高萩中学校の特別支援学級

NPO法人ピルコンは、性の健康と権利について誰もが気軽に・学べる・語り合える・相談でき、支援につながれる・・環境を実現することというミッションの下、望まない妊娠や性感染症の予防啓発と健康に生きるための性に関する正しい知識の普及活動を行っている団体です。

埼玉県の高萩中学校の特別支援学級埼玉県の高萩中学校の特別支援学級

3月10日、埼玉県の高萩中学校の特別支援学級で性教育の授業を行いました。この日は男女9人の生徒に先生5人、保護者1人、そして校長先生も時々見学にいらっしゃいまして、授業への期待の高さがわかります。ピルコンが開発した「ここからかるた」という教材を使って楽しみながら学ぶ時間になりました。代表の染矢明日香さんと都立大学の寺島千幸さん(19歳)、早稲田大学の成松佑希子さん(21歳)と3人でかるた遊びをしながら、生理・月経、精子、射精や身体の説明など理解を深める説明も加えていきます。またクマの可愛いアニメーションで他人を触れる時、他人から触れられるときには同意が必要で、「嫌」ということもあるということを短いビデオで流していました。生徒たちは60分間飽きることなく興味を維持して授業に取り組んでくれました。

ここからかるた

生徒たちは『ここからかるた』(染矢明日香著、艮香織監修、合同出版2022年)で、
心や身体の大切さ、人権や他人との関わり、性について、遊びながら学びました。

教科書

3月11日は横浜YMCAで、6人の小学生女子児童向けと、12人の中高生女子生徒向けに45分ずつの授業を行いました。かるたを使って身体の仕組みなど簡単に学んだあと、小学生向けには生理用品を実際に使って、どのようなものがあるのかなど実際に触れてみていました。ナプキンやタンポンや布ナプキン、最近できた月経カップなども実際に手に取っていました。中高生向けの授業ではコンドームなども実際に手に取る形となりましたが、子どもたちはキャーなどいう事もなく、淡々と向き合っていました。親子でもなかなか教えにくいことですが、良い授業になったのではないかと思いました。

性教育事業ではダウン症のお子さんたちや特別支援学級などご要望頂いたところに出かけて出前授業を行っています。2023年度はさらに児童養護施設や里親のもとで養育されているお子さんたち向けにも性教育を行っていただき、助成事業とすることにいたしました。

期間
2023年3月10日、11日
場所
日高市立高萩中学校(埼玉県日高市)、横浜YMCA(横浜市菊名)
主催
NPO法人ピルコン